2004年3月 京都市ごみ減量推進会議調査研究助成事業 「家庭系有害廃棄物の適正処理のために」調査研究報告 特定非営利活動法人 コンシューマーズ京都(京都消団連) 理事長 原 強 |
- はじめに
今回、京都市ごみ減量推進会議調査研究助成事業として「家庭系有害廃棄物の適正処理のために」をテーマに調査研究を行ないました。 この調査研究の目的としては「家庭から出る有害廃棄物の実情を再確認し、その適正処理の方法を探り、こんごのごみ行政のあり方を考え、提案していく」ことをかかげていました。すなわち、家庭から出る有害廃棄物にはどんなものがあるのか、それはどのように処理されているのか、それはどのようにすれば適正処理されていくのか、市民の意識や行動、自治体の処理ルールなどをアンケートやヒアリングを通じてこんごの課題を明らかにしていくことをめざしたものでした。
- 調査研究活動の経過
(1) 課題意識の整理 最初に、調査を開始するにあたっての課題意識を次のようにまとめました(2003年6月5日付けのメモ「<家庭系有害廃棄物の適正処理のために>をすすめるにあたって」)。 「私たちのくらしの中には実に多くの化学物質がある。それらは、私たちのくらしに便利さや快適さをもたらした。その反面では、それらの化学物質による環境汚染、健康への影響などのリスクが大きなものになっている。このような化学物質リスク削減は緊急な課題となっている。 化学物質リスク削減のためには、社会経済システム全体をつくりかえていくことがもとめられるが、同時に、私たちのくらしについても化学物質リスク削減という視点からの改革を意識的にすすめなければならない。私たちのくらしの中で考えてみると、有害化学物質をとりこまないために、食べ物、飲み水、室内空気などの安全対策を具体的に個別に強めていくことが必要である。他方では、有害化学物質を排出しないために廃棄物対策、とりわけ有害廃棄物対策を強めることが必要である。」 「今回の調査では、家庭系有害廃棄物の適正処理の方向を探る準備作業として、 1)市民の意識・行動調査 2)主要自治体の「適正処理困難物」「排出禁止物」についての取り扱いの現状や課題意識の把握 3)この問題について調査研究にあたってきた学識者等のヒアリング 4)「家庭系有害廃棄物」の定義、品目、個別対策の方向の整理 5)「拡大生産者責任」論にもとづくメーカー責任の明確化のための論点整理 を行う。その中から、くらしの中からでる有害廃棄物(家庭系有害廃棄物)にはどんなものがあるのか、それらはどのように処理するのが適当なのか等について、京都市や国にたいして提言をまとめていくようにしたいと考えている。」
(2) 市民意識のアンケート、ヒアリング そこで、2003年6月から7月にかけて、鷹峰、西賀茂、葵の3地域で懇談会を開催し、家庭系有害廃棄物の適正処理に関する課題意識を紹介し、意見交換を行なうとともに、鷹峰、西賀茂、聖護院、その他の市民にアンケートをお願いし、44通を回収しました。 このアンケートの結果、消費者・市民が「家庭系有害廃棄物」という場合、どんなものをイメージするかがうかびあがってきました。 すなわち、このアンケートで、44人の市民が家庭からでるごみのなかで「危険なもの」「有害だと思われるもの」「ごみとして出しにくいもの」と思うものを自由に(複数記入)あげてもらった結果は以下のようなものでした。 スプレー缶(17)、乾電池(17)、プラスチック類(6)、傘(6)、ガラス類(5)、刃物(5)、カセットボンベ(5)、灯油(4)、ライター(4)、化粧品ビン(4)、紙おむつ(3)、ガスボンベ(3)、陶器(3)、水銀体温計(3)、電球(3)、農薬(3)、ストーブ(3)、殺虫剤(2)、生ごみ(2)、植物用の土(2)、ビニル類(2)、ペンキ(2)、食用油(2)、衣類(2)、冷蔵庫(2)、植木鉢(2)、蛍光管(2)、消火器(2)、ポット(2)、薬品(2)漂白剤(以下各1)、合成洗剤、植物枝、トレー、カーペット、炊飯器、テレビ、オーデイオ、電子レンジ、ラップ、カタログ類、フイルム、ペットボトル、ガスコンロ、小型電化製品、塩ビ容器、絵の具、クーラー、電気ひげそり、洗濯ハンガー、灯油タンク このアンケートはごく限られたサンプル数ではありましたが、その後の調査研究の手がかりになるものでした。とくに、事前には乾電池や蛍光管、農薬や殺虫剤などが「有害なごみ」として多数から指摘されるのではないかと考えていたのですが、スプレー缶がトップになったことは予想外でした。また、他都市であれば「燃えないごみ」とされるものが京都市ではそのような分別区分がないため市民としては排出時に困っている実態もわかったように思います。
(3) 文献調査 他方で、手がかりになる関連文献、書籍をあつめ、情報整理を行ないました。家庭系有害廃棄物についてまとまた調査やレポートがないかとさがすなかで、ひとつの手がかりになる調査として京都大学環境保全センターが地域住民の協力のもとに行った「家庭系潜在廃棄物」のモデル回収調査(平成12年10月-12月)がありました。この調査について報告する高月鉱によれば「個数では電池が多いが、スプレー品やカセットボンベなどの可燃性危険物、漂白剤やトイレ洗浄剤などの洗浄剤も多く、意外に多いのが医薬品や化粧品で、これらは残量も多い。次に重量でみると小型の家電製品や消火器が多いが、これは1個当たりの重量が大きいので納得できる。次に液体燃料が多いのは古い灯油などが結構出されているためである。カー用品や塗料などの無視できない量が排出されている」とのことです。この調査で使用された「家庭系潜在廃棄物」という用語が示すように、これらの「やっかいなごみ」は多くが市町村では「受け入れないごみ」「排出禁止物」とされているため「やり場のないごみ」として家庭のなかに潜在しているか、やむをえず他のごみに混ぜて排出処分してしまっているのが実態であり、それが環境汚染リスク要因になっていることも、この際、自覚しなければならないでしょう。 もうひとつの手がかりになる調査として見つかったのが、環境省が平成13年11月に220市町村から回収したアンケート調査です。その調査によれば、市町村がごみとして「受け入れない」という回答数が多かった品目は、〔1〕化学薬品(農薬、溶剤を除く)、〔2〕農薬(園芸用を含む)、〔3〕タイヤ、〔4〕消火器、〔5〕バッテリー、〔6〕小型ガスボンベ(圧力容器)、〔7〕溶剤・塗料、〔8〕在宅医療器具(注射器等)、〔9〕大型家電製品(冷蔵庫、洗濯機、エアコン、テレビ)、〔10〕自動二輪車(オートバイ・原付自転車)、〔11〕FRP製品(船浴槽等)、〔12〕ボタン型乾電池、〔13〕小型二次電池、〔14〕スプリング入りマットレス、〔15〕大型家具、〔16〕携帯用通信機器(携帯電話・PHS・ポケベル等)などがあがっています。「受け入れていない理由」としては処理困難性、有害性、危険性が多くあげられているということでした。 このような調査結果に、家庭から排出される「やっかいなごみ」の実態の一部が示されています。市町村が「受け入れない」とすれば、これらの廃棄物はいったいどのように処分されているか、とても気になりました。
(4) 自治体等見学・ヒアリング つぎに、各自治体がこれらの家庭系有害廃棄物をどのように取扱っているのかを知るために、いくつかの自治体のごみ処理の現場を見学しました。 日本の廃棄物行政では市町村が廃棄物処理業務を行なうことになっていますが、そのシステムや方法は自治体ごとに人口や地理的条件等それぞれのおかれた状況にもとづいてつくりあげられてきた経過があり、どれがよいとはなかなかいいきれませんが、今回の見学を通じてやはり自治体ごとに分別の考え方や収集方法などが随分違っていることを実感することになりました。 今回の調査研究期間中に見学・訪問したのはつぎのとおりです。 ・ 名古屋市のごみ減量活動等の見学 8月21日 ・ 京都市南部資源リサイクルセンターの見学 11月4日 ・ 長岡京市のごみ行政ヒアリング、クリーンプラザおとくに見学 11月10日 ・ 宇治市のごみ行政ヒアリング、リサイクルプラザの見学 11月12日 ・ 神戸市のごみ行政ヒアリング 2004年1月13日 ・ 名古屋市のスプレー缶、カセット式ガスボンベの処理実態調査 2004年2月26日 このうち、名古屋市の見学は、ごみ減量・リサイクル推進という点で全国的にみても典型的なとりくみ事例としてさまざまな機会にとりあげられていましたので、実際にどうなのか、前から興味をもっていましたので、学ぶことの多い見学になりました。「埋立処分地」がなくなるという特殊な事情にあったとはいえ、市長が先頭になって徹底的な「ごみ減量」のとりくみをすすめた経験からは多くのことを学ぶべきだと思います。 また、12月2日には、全国都市清掃会議、日本エアゾル協会を訪問し、情報提供をいただきました。とくに日本エアゾル協会ではスプレー缶に関する調査結果のレポートをいただき、参考になりました。 さらに、2004年2月10日には、全国都市清掃会議調査普及部からまとまった情報・資料をいただく学習会をもつこともできました。とくに「市区町村における廃製品の適正処理困難状況に関する調査」(2003年5月―6月実施)のレポートは全国の自治体がどんな廃棄物についてどのように困っているのかが具体的に示されたもので、問題点を総合的に把握するうえで役に立つものでした。
(5)「家庭系有害廃棄物」をテーマにワークショップを開催 8月30日(日)午後、コープイン京都を会場に開催した「化学物質と環境」セミナー(主催:京都消費者団体連絡協議会、共催:レイチェル・カーソン日本協会、京エコロジーセンター、<財>イオン環境財団助成事業)のなかで「家庭系有害廃棄物」をテーマにワークショップを企画実施しました。 ワークショップの内容はつぎのとおりでした。 〔1〕 報告「ごみと化学物質リスク 家庭系有害廃棄物を中心に」(原 強) 〔2〕 講演「家庭系有害廃棄物の管理システムと分別収集」(四阿秀雄) 〔3〕 事例発表 1 聖護院学区での「家庭系潜在廃棄物」回収実験の経験から 2 京大生協での乾電池回収のとりくみ 3 名古屋市のごみ処理行政見学レポート このセミナーの報告、講演については「化学物質と環境」セミナーの成果をまとめた出版物『くらしの中の化学物質』(化学物質リスク研究会編、かもがわ出版刊、2004年2月)に収録しました。
(6) 研究成果の中間報告・発表など 調査研究をすすめながら、以下のように中間報告・発表を行なう機会がありました。 〔1〕 全国消費者大会環境分科会 11月17日 〔2〕 国民生活センター主催「全国消費者フォーラム」分科会 12月1日 〔3〕 レイチェル・カーソン日本協会会報NO33「ごみ」特集に「名古屋市見学レポート」を掲載。 〔4〕 岐阜新聞に寄稿 12月21日 〔5〕 神戸市シルバーカレッジの講義 2004年1月14日 〔6〕 京都市ごみ減量推進会議会報「ごみを減らそう」NO25に寄稿
- 今回の調査研究を通じて考えたこと
(1)「家庭系有害廃棄物」の概念について 「家庭系有害廃棄物の適正処理」という場合、そもそも「家庭系有害廃棄物」とは何かを明らかにすることから始めなくてはなりません。 現行制度においては、廃棄物は一般廃棄物と産業廃棄物に区分されます。 一般廃棄物は、産業廃棄物を除くもので、家庭から排出される「家庭系一般廃棄物」と事業所等から排出される「事業系一般廃棄物」に区分されます。 他方では、「特別管理廃棄物」という用語が使用されています。「特別管理廃棄物」とは「爆発性、毒性、感染性その他の人の健康または生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状」をもつものをいい、一般廃棄物については「エアコン、テレビ等に含まれるPCBを使用した部品、ごみ焼却施設の集じん灰、病院等から排出される感染性の一般廃棄物」が「特別管理一般廃棄物」とされています。また、産業廃棄物については「廃油、腐食性の高い廃酸・廃アルカリ、感染性の産廃、特定有害産廃(PCB、アスベスト、公害防止施設から発生する有害物質を含むばいじんや汚泥)」が「特別管理産業廃棄物」とされています。 しかし、私たちが家庭から排出する廃棄物のなかには、現行の「特別管理廃棄物」という概念ではくくれない「やっかいなごみ」「危険なごみ」「有害なごみ」が多数存在していることを認めなければなりません。そのなかには環境汚染リスク要因となる化学物質系の廃棄物も存在しています。これらの廃棄物は、日本の廃棄物行政のなかではきちんとした位置付けがされていないのです。私たちは、くらしの中の環境汚染リスクを削減するという視点からいって、このような廃棄物を「家庭系有害廃棄物」としてその実態を把握し、適正な管理・処理システムをつくりあげていく必要があるのではないかと思うのです。
(2)「家庭系有害廃棄物」の「有害性」の区分について つぎに問題になるのが「有害性」という場合、その内容がいろいろあるということです。 「家庭系有害廃棄物」の「有害性」については、大きくいって 〔1〕 爆発性や引火性のあるもの 〔2〕 有害な物質をふくむもの 〔3〕 感染性があるもの 〔4〕 収集処理が困難なもの というように区分することができます。 今回の調査を通じてうかびあがってきた「家庭系有害廃棄物」を「有害性」の区分に応じて分類してみるとつぎのようになります。 | 有害性の区分 | 品目例 | | 爆発性や引火性のあるもの | 〔1〕 スプレー缶、〔2〕カセット式ガスボンベ、〔3〕小型ガスボンベ、〔4〕ライター、〔5〕液体燃料(灯油)、〔7〕火薬 | | 有害な物質をふくむもの | 〔1〕 化学薬品、〔2〕農薬・殺虫剤、〔3〕医薬品、〔4〕溶剤・塗料、〔5〕蛍光管、〔6〕電池・バッテリー、〔7〕体温計 | | 感染性があるもの | 〔1〕在宅医療器具 | | 収集処理が困難なもの | 〔1〕 ピアノ、〔2〕大型金庫、〔3〕スプリング入りマットレス、〔4〕タイヤ、〔5〕自動車・オートバイ、〔6〕消火器 | 今回の調査研究の目的としている「家庭系有害廃棄物の適正処理」という場合も、これらの区分に応じたそれぞれの処理システムが作られねばならないでしょう。
(3)「家庭系有害廃棄物の適正処理」と「拡大生産者責任」について 「家庭系有害廃棄物の適正処理」のシステムを作り上げるうえで「拡大生産者責任」という考え方をふまえることが必要です。 2002年11月に出された中央環境審議会の意見具申「今後の廃棄物・リサイクル制度の在り方について」は「拡大生産者責任」に関わり、以下のようにのべています。 「拡大生産者責任の趣旨は、製品が使用済みとなった場合における環境負荷の管理・削減に最も支配力を有する生産者に一定の責任を求めることにより、使用済製品に係る環境負荷低減のメカニズムを市場に組み込み、環境コストを正しく市場に反映させることにある。 これまでも、拡大生産者責任の趣旨については、我が国の法制度において、廃棄物処 理法における適正処理困難物制度の導入などに端を発し、さらに、容器包装リサイクル法などのリサイクル関連法に活かされてきたところである。 拡大生産者責任の趣旨にかんがみ、従来の廃棄物処理法の処理責任者としての市町村 や排出事業者と並び、上流における取組の責任主体として生産者を適切に位置づけていく必要がある。 特に一般廃棄物の処理責任を有する市町村が有害性、危険性などの点から処理困難な 物について、その適正処理を確保するため、拡大生産者責任の趣旨に基づき生産者による製品設計・素材選択の工夫や、引取り・処理などの取組を求める制度の一層の拡充が必要である。」 2003年9月にまとめられた京都市廃棄物減量等推進審議会の「答申」の中でも、ごみ問題の解決のために発生抑制・上流対策を強化することとあわせて、分別・リサイクル対策、適正処理対策という課題がかかげられ、「有害物・危険物」に関わり、つぎのように指摘されました。 「スプレー缶、在宅医療器具、塗料及び溶剤などの有害物・危険物は、収集作業中の職員の怪我、クリーンセンターでの爆発事故、有害物処理コストの増大などの原因となっている。有害物・危険物がもたらすこうした影響は、ごみ減量・リサイクルが進み、家庭ごみ中の他のごみ種の量が減少するにつれて、相対的に重要性が増してくると考えられる。 このため、拡大生産者責任の考え方のもと、民間による回収ルートの整備が促進されるよう、事業者と行政の連携を図った取組が必要である。」 拡大生産者責任の考え方は、容器包装リサイクル法や家電リサイクル法ですでに部分的にではあれとりいれられつつありますが、循環型社会をつくりあげていくうえでは欠かせないものというべきでしょう。
(4)想定できる収集システムについて 日本の廃棄物行政においては、廃棄物収集業務は市町村が行なっていることから「家庭系有害廃棄物」についても全国一律のシステムを想定することはできません。また、廃棄物の種類によっても、その方法が異なることになるでしょう。 そのことを前提にしながら、基本的な収集システムとしてはつぎのような方法が想定されるでしょう。 〔1〕 販売店からメーカーへの回収ルートを整備する 〔2〕 できるかぎり身近なところに回収ステーションを設置する 〔3〕 各家庭を巡回する回収システムを整備する 具体的には廃棄物の種類に応じて個別にシステムをつくりあげていかねばなりませんが、その場合、 〔1〕再資源化できるものは資源回収の視点から考えることが必要であり、 〔2〕環境汚染につながる有毒性のたかい廃棄物については化学物質の総合的な管理という立場からのシステムづくりがもとめられることでしょう。
(5) スプレー缶、カセット式ガスボンベの再資源化の可能性について 今回の調査研究ではスプレー缶、カセット式ガスボンベについて具体的な話題にする機会がしばしばありました。各自治体でもその取り扱いには困っているようでした。 スプレー缶、カセット式ガスボンベは殺虫剤など内容物が有毒性の高いものもありますが、総じていえば「爆発性」「引火性」ということが問題になります。また実際に収集時の爆発事故などがあいついでいるのです。 このような事故を防ぐために排出時に「穴をあけて出しましょう」とよびかける自治体が多いのですが、「穴をあける」時点での事故がおきていることから「穴をあけずに」とよびかける自治体もでています。 いずれにせよ、スプレー缶、カセット式ガスボンベを再資源化するためには、内容物を空にして出してもらうことがポイントです。この点がクリアされ、確実に分別回収できればスプレー缶、カッセト式ガスボンベはスチール、アルミとして再資源化できるのです。 今回の調査研究では名古屋市の事例が印象的でした。各戸から指定袋にいれて出されたスプレー缶、カッセト式ガスボンベは一箇所に集められたうえで、まとめてリサイクル業者に引き渡され、再資源化されていました。その量は一ケ月で20トン前後に達しているとのことでした。 日本エアゾール協会の報告によれば、名古屋市以外にもスプレー缶、カセット式ガスボンベの再資源化にとりくんでいる自治体は数多くあるようです。それぞれの困難、問題点をもちながら実践している事例から学ぶことが必要でしょう。
(6) 環境汚染リスクの高い廃棄物対策について 「家庭系有害廃棄物」のなかには「有害な物質をふくむもの」があります。これらについては環境汚染リスクを削減するという立場から適正な処理を行う必要があります。 この間、一般的に使用されている筒型乾電池に関しては、水銀使用が除去されたというものの、ボタン電池や充電式電池等については水銀の排出源になりうるものであり、適正な処理がされるべきです。また、水銀以外の重金属類についても資源保全、有害性対策という点から適正処理が行われるべきです。8月に行なったワークショップで報告された京都大学生協が行なっている乾電池の分別回収の事例報告は、販売点が回収ポイントになるという点で、ひとつの問題解決の方向を示しているものです。 バッテリーや蛍光管、体温計などについても同様に販売店からメーカーにつながる回収システムが考えられるべきでしょう。 また、化学薬品、農薬、溶剤・塗料、医薬品などについては一般の廃棄物とは別に、環境汚染リスクを削減するために化学物質を総合的に管理するという立場から回収システムが検討されるべきです。自治体としても回収システム整備のために努力していただく必要がありますが、システム整備ができない段階における一時保管的な対策も考えていただくことを希望したいものです。 このような対策をすすめていくうえでコスト問題はさけられません。個別具体的な検討が必要でしょうが、基本的には、拡大生産者責任の考え方に立って、必要なコストを生産価格にあらかじめ組み込んでおくための経済的な手法が活用されるべきです。
- さいごに
この調査研究をすすめている間に、京都市では「京都市循環型社会推進計画」の策定作業がすすめられていましたが、このほどできあがった同「計画」おいて「有害物・危険物への対応」の課題が示されました。平成16年度においては「事業者と連携を図った適正な回収ルートの整備を検討するとともに、スプレー缶やカセットボンベなど資源化可能なものについては分別・リサイクルの実施を検討していきます」という方向性をもちながら調査・検討が行われることになっています。これを機会に「家庭系有害廃棄物」の適正処理のシステムが構築されていくことを期待したいものです。 なお、今回の調査研究では直接扱わなかった事業系有害廃棄物や医療系有害廃棄物の問題についても、ひきつづき検討していかなければならない課題であることを指摘しておきます。
|
<参考文献> 【1】高月鉱「<未知なるごみ>を追って 家庭系有害ごみと引っ越しごみの実態」(「市民がつくるごみ読本C&G」VOL13第6号) 【2】小清水大「家庭系有害廃棄物の排出量推定及び回収方法に関する一考案」(京都大学大学院工学研究科環境工学専攻修士論文2001) 【3】四阿秀雄、及川智「小口・家庭系有害廃棄物の管理システムに関する検討」(「東京都環境科学研究所」年報2002) 【4】四阿秀雄「小口・家庭系有害廃棄物の排出と管理システムに関する検討」(「とうきょうさんぱい」第151号 2003) 【5】中央環境審議会意見具申「今後の廃棄物・リサイクル制度の在り方について」(2002年11月) 【6】京都市廃棄物減量等推進審議会答申「京都市における循環型社会の形成に向けた提言」(2003) 【7】京都市循環型社会推進計画・京のごみ戦略21(2003) 【8】エアゾール製品処理対策協議会/社団法人日本エアゾール協会「エアゾール缶等に関する自治体アンケート調査報告書」(2001) 【9】社団法人日本エアゾール協会「エアゾール缶等排出実態調査報告書」(平成14年度版)(2003) 【10】全国都市清掃会議「市町村における廃製品の適正処理困難状況に関する調査」レポート(2003) 【11】高月鉱・酒井伸一著『有害廃棄物』(中央法規 1993) 【12】酒井伸一著『ゴミと化学物質』(岩波新書 1998) 【13】廃棄物学会編『新版ごみ読本』(中央法規 2003) 【14】『廃棄物六法』(中央法規 2003) 【15】細田衛士・室田武編『循環型社会の制度と政策』(岩波書店 2003) 【16】本多淳裕『ごみ対策が危ない』(省エネルギーセンター 1998) 【17】安田リスクエンジニアリング編集『循環型社会ハンドブック』(有斐閣 2001) 【18】環境省編『平成15年版循環型社会白書』(ぎょうせい 2003) |